seminar

「名古屋地方裁判所民事第3部(交通専門部)との懇談会」テーマに関する設例研究出題
 平成24年11月19日「ドライブレコーダーの証拠としての利用及び証拠評価について」
 平成25年11月19日「後遺障害により通常人レベルの労働能力は残存しているが、希望した職種への就労が全く不能になった場合の逸失利益の算定方法」

当事務所弁護士丹羽洋典が委員を務める、公益財団法人日弁連交通事故相談センター愛知県支部委員会では、毎年1回、名古屋地方裁判所の交通専門部である民事第3部の全裁判官にご出席いただき懇親会を行っておりますが、その際、特定のテーマについて出席した委員が議論を交わし、その後裁判官の視点から解説をいただくことが恒例の行事となっています。
 平成24年及び平成25年と2年連続で、弁護士丹羽が設例作成を担当し、出題意図等を解説いたしました。
 平成24年は、近時交通事故賠償実務で重要な証拠価値を有するようになったドライブレコーダーで捉えられた交通事故の映像を会場で実際に流し、その基礎知識を確認した後、下記の設例を検討いたしました。
 1(1) ドライブレコーダーの映像記録の証拠提出方法
  (2) ドライブレコーダーの映像記録の証拠調べの方法
  (3) 設例事案におけるドライブレコーダーの映像の証拠評価上の問題点
 2 被告がドライブレコーダーの提出を拒んだ場合、被告に対し、訴訟内・外で証拠開示を求める方法及びその手続きに
  おける留意事項
 続く平成25年は、人身損害の中でも金額が多額になり、かつ問題点の多い後遺障害逸失利益に関して、そもそも逸失利益性が認められるか、認められるとして基礎収入や労働能力喪失期間はどのように認定すべきかなどを、下記の設例を通じて検討しました。

1 事故以前、賃金センサスより高い収入を得ることが見込まれた場合
   高度の知的レベルを有し、特定分野の大学研究者になることが内定していた大学院生につき、交通事故により、高次
  脳機能障害を負い脳機能が低下したため、研究者としての道は閉ざされたが、通常の大学院卒レベルの労働能力は維持
  され、その後、実際に民間企業に就職し、大学院卒と同様の給与を得ている事案
  (1) 被害者は、本件事故後においても、将来大学及び大学院卒レベルの平均賃金を得られる蓋然性は高いが、逸失利益
   を認めるべきか。
  (2) 逸失利益を認める場合、これをどのような算定式で算定するか。また、算定の際、どのような証拠資料をもって、
   逸失利益を認定するか。
 2 事故以前、賃金センサスに満たない収入しか得られる見込みがなかった場合
   美容専門学校に在学し、将来美容師になることが確実であった専門学校生につき、交通事故により利き手の第三指を
  骨折し、一般の就労には問題ないが、はさみを十分に扱えなくなったため、美容師としての業務を遂行できなくなり、
  その後民間企業に就職し、男子高専・短大卒と同様の給与を得ている事案
  (1) 被害者は、本件事故後においても、将来男子高専・短大卒レベルの平均賃金を得られる蓋然性は高いが、逸失利益
   を認めるべきか。
  (2) 逸失利益を認める場合、これをどのような算定式で算定するか。また、算定の際、どのような証拠資料をもって、
   逸失利益を認定するか。


シェアする