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中日新聞生活部に寄せられた読者からの駐車場の誘導員の指示に関する質問に対し、当事務所弁護士丹羽が、紙面で回答をいたしました。


最近では、大型ショッピングセンターや大規模なイベントの際など、駐車場に誘導員が配置され、駐車場の出入りや駐車の際などに誘導員から指示を受ける機会が増え(「交通誘導警備」といいます(警備業法2条2項))、これに伴い誘導員の指示に従った結果事故が生じるケースも多くなってきました。
本質問では誘導員の指示にしたがい事故が生じた場合に誘導員や配置した会社などの責任を問えるかというものです。
記事でも触れていますが、道路交通法上、公道を走行する際には警察官や交通巡視員(現在は廃止している都道府県が多いです。)の指示に従う義務はありますが(道路交通法6条、7条、114条の2)、それ以外の者の指示に従う義務はありません。
そのため、誘導員の指示は、例えばバックカメラなど、運転手自らが安全に運転する際の判断材料の一つに過ぎず、誘導員の指示にしたがったとしても運転手が責任を負うことが原則となります。
裁判例でも「(誘導員の)合図には、道路交通法上何ら格別の権限が与えられたものではなく、これに従うか否かは、最終的には運転者の規範意識によらざるを得ない」とされています(東京地裁平成15年9月8日判決)。
一方で、円滑かつ安全な交通のため、工事現場などでは誘導員の配置が義務付けられていますし、前記のとおり誘導員の指示が一般化している現状があり、誘導員が車の運転方法を指示し、運転者がこれに従うことは、交通慣習上一般的であるといえます。
そのため、誘導員が誤った指示を出し、それに従って運転し事故が生じた場合、誘導員にも過失が認められ、運転手との間の過失割合の問題とされることがあります。
また、研修や教育が不十分で誤った指示を出すような者を配置したとの点で、誘導員の所属会社に対して責任追及できる場合もあります。



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