出版・書籍
黄色本16訂版が出版されました。
令和3年11月、弁護士丹羽が委員を務める(公財)日弁連交通事故相談センター愛知県支部から、「交通事故損害賠償基準」(通称「黄本」・「黄色本」)の16訂版が出版されました。
弁護士丹羽は15訂版を最後に直接編集には携わっておりませんが、16訂版は従前どおり、Ⅰ部では当地での交通事故賠償基準を挙げ、Ⅱ部では名古屋地方裁判所で平成29年及び30年度に言い渡された交通事故訴訟の判決のうち、重要な72件の判決を取り上げています。
また、資料編では交通事故事案を名古屋地裁で提起する際の運用面での留意事項や、訴状・答弁書・証拠説明書作成の実務的かつ具体的な注意点を紹介するとともに、当支部委員の執筆による愛知県弁護士会会報記事を掲載しています。
本改訂では、各裁判例の原点を参照できるよう、すべての判例にWestLaw社の文献番号を付したほか、資料編が相当充実したものとなるなど大幅な改定がなされており、初めて名古屋地裁に訴訟提起する方は必見です。
また、特記すべき点として、むち打ち損傷後の後遺障害の逸失利益について、15訂版までは労働能力喪失期間を「12級程度 5年から10年」、「14級程度 2年から5年」とされていたのが、16訂版では近時の裁判例の傾向に合わせ、それぞれ従前の上限であった「12年程度 10年」、「14級程度 5年」を目安にすると明確な基準に変更されました。
もちろん、訴訟をすれば必ず上記のとおりの労働能力喪失期間が認められるわけではなく、後遺障害の内容、労働への支障の程度、減収の有無等を踏まえ総合的に判断されますが、示談交渉時及び裁判で争われることが極めて多い、むち打ち損傷後後遺障害の労働能力喪失期間について、青本26訂版に続いて愛知県での基準も明確化されたことは、当地での実務に大きな影響を与えると思われます。
これで、全国の汎用性ある「裁判基準」のうち、むち打ち損傷後の後遺障害逸失利益の労働能力喪失期間につき幅のある記載を残しているのは大阪の「緑のしおり」だけとなり、被害者側交通事故弁護士としては、基準を明確にし早期かつ公平な被害者保護のためにも、保険会社による相当でない保険金減額主張を許さないためにも、近時の裁判例の傾向に合わせ一刻も早く明確化されることが望ましいと考えています。
黄本16訂版につきましては、これだけの充実度にも関わらずお値段据え置きの1冊2,000円ですので、ご興味のある方は(公財)日弁連交通事故相談センター愛知県支部(052-221-7097)宛にお問い合わせください。
出版・書籍
- ㈱自動車保険ジャーナルNo.2163号(名古屋高裁令和5年9月29日判決)
- 黄色本16訂版が出版されました。
- ㈱自動車保険ジャーナルNo2050号(名古屋地裁令和元年5月29日判決)
- ㈱自動車保険ジャーナルNo2049号(名古屋地裁一宮支部平成31年3月28日判決)
- ㈱自保ジャーナルNo2026(名古屋地裁平成30年4月18日判決)
- 交通事故育成基金「スマイルズ」2018年春号
- ㈱自動車保険ジャーナルNo.1984(2017.2.23)
- 株式会社自動車保険ジャーナル社発行「自保ジャーナル」(1926号・144頁、1940号・170頁)
- 公益財団法人日弁連交通事故相談センター愛知県支部 「交通事故損害賠償額算定基準」(通称「黄本」「黄色本」)
被害者側
交通事故専門弁護士による
ブログ
保険会社や病院の不適切な対応から専門家向けの高度な知識など、交通事故被害者にとって重要な情報を惜しみなく提供し、被害者側交通事故賠償実務の発展・向上に努めています。
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