傷病別後遺障害等級認定の基礎知識と対策
傷病別後遺障害等級認定の基礎知識と対策
脳損傷(高次脳機能障害)
交通事故により頭部に衝撃が加わり、脳に損傷を負った場合、上下肢などの麻痺、視力・聴力障害、頭痛・めまい等の重篤な症状が発症することがあります。
また、記憶力・判断力などの認知障害や感情易変・攻撃性・自発性の低下などの人格変化などの高次脳機能障害が生じることもあります。これは下に詳しく述べます。
これらの症状のうち視力障害及び聴力障害がそれぞれ単独で生じた場合、視力障害は視力・調節機能障害などの眼の障害として評価され、聴力障害は耳の障害として評価されますが、それ以外の症状は、「神経系統の機能障害」として、症状の程度に応じて以下の等級が認定されます。
麻痺などの身体性機能障害:第1、2、3、5、7、9、12等級
てんかん症状:第3、5、7、9、12等級
頭痛:第9、12、14等級
めまい等の平衡機能障害:第3、5、7、9、12、14等級
高次脳機能障害による症状が、自賠責等級の具体的に何級に該当するかの判断は非常に困難です。
当事務所独自の簡単に該当等級を判断する基準を紹介していますので、こちらのページを併せてご覧ください。
なお、当事務所にご依頼いただいた場合、依頼者様の症状に合わせた後遺障害診断書類の書式、その記載内容や方法等について医師の先生や依頼者の方々に個別にご案内し万全の後遺障害認定に向けた準備を整えますが、国土交通省が発行しております、一般的な高次脳機能障害についての後遺障害認定手続や、医師の先生方向けの後遺障害診断書の記載方法について説明したパンフレット(以下PDFで展開します。)がございますので、ご参考にしてください。
高次脳機能障害についての賠償実務上の誤解についてはこちらをご覧ください。
重傷を負った方の入院・介護の問題点につきましては、こちらをご覧ください。
高次脳機能障害に対するリハビリの重要性についてはこちらをご覧ください。
等級認定のポイント
- 事故後、運動麻痺等の上記の症状が発症し、
- 診断書上、脳挫傷、頭部外傷(2型)、外傷性くも膜下出血、急性硬膜下・外血腫、局在性脳損傷、び慢性軸索損傷(DAI)等の脳の器質的損傷を示す診断名の記載があり、
- これらの脳損傷が、CT・MRI等の画像上確認でき、
- 一定期間の意識・記憶障害が生じた
これらの場合であれば、後遺障害等級の認定は、比較的問題は生じません。
ところが、交通事故により頭部に外傷を受けても、
- そもそも頭部への外傷を疑わせる診断名の記載がない場合、
- 診断名が脳震盪、頭部外傷1型などの比較的軽微な診断に留まった場合、
- 脳の器質的損傷がCT・MRI等での画像で明らかに確認できない場合、
- 意識・記憶障害が生じなかった場合など
これらの場合、上記症状が生じていたとしても、後遺障害等級の認定において困難が生じる場合がありますので注意が必要です。
その他、後遺障害の認定上問題となるケースとして以下の場合があります。
既往症がある場合
高齢者の交通事故等で、事故前に脳梗塞等を生じていた場合など、事故後発症した症状が事故によるものか争いになることがあります。この場合については、事故前と事故後の画像の比較による病変の推移の比較、事故前と事故後の症状の進行の程度の比較などにより、事故と症状の因果関係を立証していくことになります。
事故後しばらく経ってから発症した場合
症状の発症が事故と因果関係を有するかが問題となります。
この場合、事故から発症までの期間、受傷態様、事故直後の症状内容・程度、事故後発症までの症状の経過(頭痛やめまいなどが持続して発生)、画像所見、症状の原因となるべき病変の進行の程度等から、事故から当該期間を経た時期に当該症状が発症することが医学的にありうるのかを主治医や専門医の意見を聞き、事故と症状の因果関係を判断していくことになります。
対策
1 頭部への受傷を示す診断
事故により頭部を打ち付けた場合、頭部に強い衝撃を受けた場合などでは、その旨を必ず医師に告げ、診断書等に頭部への受傷を示す診断を受けて下さい。
2 できるだけ早期かつ経時的なMRI・CTの撮影
頭部を受傷した場合、必ず早期にCT、できればMRIで脳に器質的な損傷を受けていないか確認していただいて下さい。
ただし、脳損傷を示す脳室・脳溝の拡大や脳萎縮等は事故後進行し3か月程度で完成するとされており、事故直後に撮影された画像では捉えることができませんし、これらが急激に進行することもありますので、適切な時期かつ経時的な画像の撮影により、その変化を捉えていくことが大切です。
なお、脳室や脳溝の拡大は障害が重い場合にみられるものですので、例えばCT上脳室の拡大が認められないからと言って、必ずしも脳損傷が生じていないわけではありませんのでご注意ください。
また、救急や初期段階ではCTのみしか撮影されないことも多々ありますが、CTのみではびまん性軸索損傷を診断するのは不十分ですので、必ず早めのMRIを撮影すべきですし、微細な外傷の診断においては、拡散強調画像(DWI)及び磁化率強調画像(SWI)によるMRI撮影が有用とされるので、可能であれば早期にこれらのMRI撮影をお願いしてください。
さらに、PET・SPECT等により脳内血流の活性程度を明らかにしたり、脳波や誘発電位を測定し、異常波や異常電位が生じていないか確認することも有用ですが、これらの画像のみをもって、脳損傷を示す画像所見とはなりませんので注意が必要です。
左くも膜下に淡い出血があると認められた画像(CT/MRIT1/T2/DWI/FLAIR)の比較
(乗用車同士の右直事故直進車同乗者・20代男性)
平成30年報告書では
自賠責後遺障害等級認定の基準となる、平成30年5月31日に発表された「自賠責保険における高次脳機能障害認定システムの充実について」(報告書)では、高次脳機能障害の画像所見について下記のとおり述べています(平成30年報告書)。
第1 撮影方法
1 微細な脳損傷を検出するにはCTでは不十分である。
2 時間が経過すると、脳の器質的損傷所見が消失する例があるため、外傷後早期にMRI(T2強調画像、T2*、DWI、FLAIRなど)を撮影することが望まれる。
① 特に、T2*は、時間が経過した場合でも、びまん性軸索損傷による小出血部に沈着したヘモジデリンを捉えて診断に繋がる場合がある。
② さらに、SWI(注:磁化率強調画像)は、T2*よりも鋭敏に微細な出血痕等を描写することができる撮像方法として期待されている。
3 DTI、fMRI、MRスペクトロスコピー、SPECT、PET等は、現在、これらの検査のみで、脳の器質的損傷の有無等を確定的に示すことはできないが、当初のCT、MRIにおいて脳損傷が明らかであったものの、時間経過にとともに損傷所見が消失した場合など、・・・(これら検査により)整合性のある一貫した所見が窺えるものについては、補助的な検査所見として参考になる場合がある
第2 評価方法
1 頭蓋内病変や脳挫傷の有無を確認するだけでなく、外傷直後より経時的に脳委縮や脳室拡大等を含めた画像上の異常所見の有無を把握していくことが重要*ただし重症脳損傷以外では脳萎縮は生じないこともよく見られます。
2 外傷直後のCTでは正常に見える場合であっても、MRIでの脳内(皮質下白質、脳梁、基底核部、脳幹など)に点状出血等の所見が認められる場合、外傷数日後にはしばしば硬膜下腔ないしくも膜下腔に脳脊髄液貯留を生じ、その後、脳室拡大や脳溝拡大などの脳委縮が目立ち、およそ3か月程度で外傷後脳室拡大等が固定する。
3 局在性脳損傷(脳挫傷、頭蓋内血腫等)が画像で目立つ場合であっても、前記と同様、脳室拡大、脳委縮の有無や程度を経時的に把握していくことが重要
びまん性軸索損傷(DAI)での画像所見上の注意点
びまん性軸索損傷(DAI)とは、頭部に強い外力を生じた際に、頭蓋内で脳の歪みやズレ等が生じその剪断力により脳の神経細胞をつなぐ神経軸索等が断裂し、脳の広範囲に損傷が生じる症例で、交通事故後の高次脳機能障害の原因として非常によく見られます。
びまん性軸索損傷の場合、脳の特定部分を損傷しその機能局在(Brodmann野)の低下を呈する局在性損傷と異なり、脳全体のネットワークに支障が生じますので、高次脳機能全般の低下がみられることが特徴です(「量の原理」)。
鋭利物が刺さるなどして脳に局在性損傷が生じた場合は別として、脳の局在性損傷が生じた場合であっても脳全体に強い外力が生じた場合は、びまん性軸索損傷を併発することもありえます。
びまん性軸索損傷については、上記の平成30年報告のとおり、受傷当初のCT画像では特に異常が見つからず、MRI・T2*やFLAIR画像などで点状の微小出血痕として捉えられることがあります。
びまん性軸索損傷の場合、まず気を付けなければならないのは、MRIで捉えられた微小出血部の機能局在に対応する脳機能の低下が生じていないからといって、高次脳機能障害を否定する理由にならないということです。
あくまでも、微小出血は脳に強い外力が生じ広範囲に脳を損傷したことを示す兆候に過ぎず、必ずしも微小出血部の脳損傷が生じたことを示すものではないからです。
例えば、上記画像のとおり右側頭葉や小脳近縁部に点状出血痕がみられる場合、側頭葉が司る聴覚や言語理解力の低下が生じていないからといって、上記点状出血は高次脳機能障害を裏付ける画像所見でなない、とは必ずしも言えないのです。
点状出血により脳の広範囲な軸索損傷の可能性が示されているのですから、典型的な高次脳機能障害の症状を示しているのであれば、これを裏付ける画像所見になりえるのです。
この点で、びまん性軸索損傷の場合、上記平成30年報告書が指摘する、「DTI、fMRI、MRスペクトロスコピー、SPECT、PET等は補助的な検査所見として参考になる」に過ぎないとした点には疑問があります。
確かに、局在損傷の場合は脳の特定部分が損傷したのですから、時の経過によるCTやMRIルーティン撮影で損傷所見が消失した場合であっても、上記の検査所見でその特定部位に異常が見られることはありえます。
しかし、びまん性軸索損傷の場合、脳のネットワーク機能に支障が生じ広範囲な脳の機能低下が生じているのですから、DTIやfMRI,MRS、RI等の検査では、広範囲な数値や活動部位、脳血流の低下がみられるはずであり、必ずしも点状出血部や硬膜・くも膜下出血部に限って数値等の低下が認められるわけではありませんので、これらの検査結果が、当初認められた脳の損傷部位をピンポイントで裏付けることはあり得ないと思われます。
むしろ、これらの検査は脳の広範な機能の状態を示す検査ですから、全般的な脳機能の低下を生じるびまん性軸索損傷を裏付ける検査として適しているといえ、仮にCTやルーティンMRIで画像所見が認められなかったとしても、これらの検査所見が相互に矛盾せずびまん性軸索損傷を示すものであれば、それだけでびまん性軸索損傷を示す主要な画像所見としても位置付けても良いのではないかと考えています。
3 意識・記憶障害の有無・程度の記載
事故後意識障害・記憶障害が生じた場合、脳損傷を示す有力な徴候となりますので、事故後、頭部を受傷したことにより、意識障害や記憶障害が生じた場合、その内容及び程度、継続時間等を必ず医師に告げ、診断書等に記載していただいて下さい。
また、意識・記憶障害が継続している場合、「グラスゴーコーマスケール(GCS)」もしくは「ジャパンコーマスケール(JCS)」により意識レベルを測定し、その数値を記載して頂いただいて下さい。
なお、受傷当初の意識障害の内容や程度については、救急搬送先の病院の診療録に記録されていますし、救急隊が作成する「救急出動報告書」「救急出動記録」などに記載があります。
「救急活動報告書」については、救急対応した医療機関の医療記録に編纂されている場合もありますし、市町村に対する個人情報開示請求手続きにより、開示を受けることができます。
4 電気生理学的・徒手的神経学的検査の実施
脳損傷による麻痺などの神経症状が生じた場合、その内容及び程度を調べる検査(腱反射・病的反射、筋力、筋委縮、知覚分布)などを実施していただいて下さい。これらは、その内容及び程度により後遺障害の等級が決定されるので、正確に実施していただいて下さい。
また、脳機能障害による運動・感覚麻痺が生じていることを電気信号により捉えることができる、体性感覚誘発電位(SEP)検査や運動誘発電位(MEP)検査などの電気生理学的検査は、客観的に脳機能障害が生じていることを示すことができる点で非常に有用です。
5 各種診断書の記載
後遺障害診断書に記載のない内容は、後遺障害等級認定の場面では、無いものとして扱われてしまうので、1乃至4の所見を後遺障害診断書に正確かつ詳細に記載していただいて下さい。
また、麻痺の程度や神経学的検査の結果をより詳細に記載するため、主治医の先生に、「脳損傷による障害の状態に関する意見書」、GCSやJCSの結果や意識障害の程度・時間を詳細に記載した「頭部外傷後の意識障害についての所見」等の診断書類・意見書を記載していただいて、自賠責等の等級認定機関に対し、症状の内容をより詳細に伝えることが重要です。
高次脳機能障害
高次脳機能障害とは、交通事故等の外傷により、脳組織に器質的損傷(局所性損傷・びまん性損傷)が生じ、
- 記憶・記銘力障害、集中力障害・遂行機能障害・判断力低下等の認知障害
- 感情易変、不機嫌、攻撃性、暴言・暴力・幼稚、羞恥心の低下、多弁(饒舌)、自発性・活動性の低下、病的嫉妬、被害妄想等の人格変化
- 1、2症状に加え、痙性片側麻痺、痙性四肢麻痺、起立・歩行の不安定、構語障害
などの症状を発症することです。
なお、高次脳機能障害の患者の75%以上に、記憶障害・注意障害・遂行機能障害が生じているとの報告があります。
後遺障害等級は、その程度に応じ、第1、2、3、5、7、9等級に該当しますが、交通事故による高次脳機能障害と認定されるためには、主に以下の条件が必要です。
ア) 事故後上記①乃至③の症状の発現
イ) 初診時に頭部外傷の診断がある
ウ) 経過診断書に外傷性くも膜下出血、急性硬膜下・外血腫、局在性脳損傷、び慢性軸索損傷(DAI)等の脳の器質的損傷を示す診断がされている
エ) これらの脳損傷が、CT・MRI・その他(DTI・PET等)の画像上確認できる。ただし、画像上確認できないことが多い脳損傷(軽度外傷性脳損傷・MTBI)でも、長期に渡り症状が残存する場合、その他の画像・検査所見や意識障害等の条件を併せ判断して、高次脳機能障害と認定される可能性があります。
オ) 一定期間の意識障害が生じた(事故直後6時間以上の意識障害が継続した場合、永続的な高次脳機能障害が残ることが多いとされています)
高次脳機能障害は見逃されやすい
高次脳機能障害は、認知障害及び人格変化をその症例とするので、事故前の患者の認知能力や人格を把握できない医師は、これらの変化に気付かなかったり、他の急性期の合併症状を優先的に対処するため見落とされたり、単なる一過性の症状と考えたり、医師が本症例につき理解が不十分であったりするなどして、見逃されることが多々あります。
事故当初にこれら症状が見逃されたため、早期に適切な画像を撮影していなかったり、当初の意識障害の状態が記録されていなかったりするなどして、事故による脳障害の症状であることを証明する資料が残されていなかったため、後遺障害の認定を受けられなくなってしまうことがありますので、十分ご注意ください。
対策
1 早期の症状の把握及び専門医への相談
先に述べたとおり、高次脳機能障害は、認知障害・性格変化をその内容とします。そのため、事故前の患者の認知能力及び性格を把握していない医師に見逃されやすい症状です。
また、被害者ご本人が自分では発症に気付いていないことも多々あります。そのため、ご家族など周囲の方が、被害者に事故後認知障害・性格の変化等の症状が生じたと感じたら、すぐに医師にご相談ください。
また、高次脳機能障害は比較的最近研究が進んだ症例であり、医師間での認知度もそれほど高くなく、脳神経科・神経科以外の専門外の医師にとってあまり馴染のないこともあります。そのため、主治医の理解が不十分と感じたら、専門医を紹介していただくなどして、専門医の治療を受けてください。
2 頭部への受傷を示す診断
高次脳機能障害は、脳損傷を原因としますので、事故により頭部を打ち付けた場合、頭部に強い衝撃を受けた場合などでは、その旨を必ず医師に告げ、診断書等に頭部への受傷を示す診断を受けていただいて下さい。
3 できるだけ早期かつ経時的なMRI・CTの撮影
高次脳機能障害の場合も、上記「脳損傷・対策」で述べたできるだけ早期のMRI画像(T2強調画像、T2*、DWI、FLAIR)などの撮影は非常に重要です。
4 意識・記憶障害の有無・程度の記載
事故後意識障害・記憶障害が生じた場合、脳損傷を示す有力な徴候となりますので、事故後、頭部を受傷したことにより、意識障害や記憶障害が生じた場合、その内容及び程度、継続時間等を必ず医師に告げ、診断書等に記載していただいて下さい。
また、意識・記憶障害が継続している場合、「グラスゴーコーマスケール(GCS)」もしくは「ジャパンコーマスケール(JCS)」により意識レベルを測定し、その数値を記載して頂いただいて下さい。
なお、受傷当初の意識障害の内容や程度については、救急搬送先の病院の診療録に記録されていますし、救急隊が作成する「救急出動報告書」「救急出動記録」などに記載があります。
「救急活動報告書」については、救急対応した医療機関の医療記録に編纂されている場合もありますし、市町村に対する個人情報開示請求手続きにより、開示を受けることができます。
5 神経心理学検査の実施
1 全般的な機能の評価
Wechsler Adult Intelligence Scale-Revised(WAIS-R)
2 前頭葉・集中力・遂行機能の評価
① Wisconsin Card Sorting Test(WCST)
② 語想起
③ Trail Making Test
3 記憶検査
① Wechsler Memory Scale(WMS-R)
② 三宅式記銘力検査(言語性対連合学習)
なお、平成30年5月31日付「自賠責保険における高次脳機能障害認定システムの充実について」では、障害程度の把握のための検査として以下の神経心理学的検査が挙げられています(平成30年報告書)
・WAIS-Ⅲ(Wechsler Adult Intelligence Scale-Third Edition)
・WMS-R(Wechsler Memory Scale-Revised)
・三宅式記銘力検査
・TMT(Trail Making Test)
・語の流暢性(FAB:Frontal Assessment Battery)
・BADS(Behavioural Assessment of the Dysexecutive Syndrome)
・WCST(Wisconsin Card Sorting Test)
・WISC-Ⅳ(Wechsler Intelligence Scale for Children-Fourth Edition)
・KABCⅡ(Kaufman Assessment Battery for Children,Second Edition)
6 日常生活報告書の作成
認知能力及び性格は人により様々ですし、医師は事故前の被害者の認知能力・性格を把握していません。そのため、事故により、認知能力及び性格がどのように変化したのかを示す資料を医師に提供することで、適切な処置や治療が可能になります。
また、自賠責などの後遺障害等級認定機関にも、認知能力・性格の変化を伝え、事故後高次脳機能障害を発症したことを認識してもらう必要があります。
そこで、ご家族など事故前の被害者の状況を良く知っている方に、「日常生活報告書」等に、被害者の事故前後の認知能力及び性格の変化を詳細に記載することが必要です。
7 各種診断書の記載
後遺障害診断書に記載のない内容は、後遺障害等級認定の場面では、無いものとして扱われてしまうので、1乃至6の所見を後遺障害診断書に正確かつ詳細に記載していただいて下さい。
また、麻痺の程度や神経学的検査の結果をより詳細に記載するため、主治医の先生に、「脳損傷による障害の状態に関する意見書」、GCSやJCSの結果や意識障害の程度・時間を詳細に記載した「頭部外傷後の意識障害についての所見」等の診断書類・意見書を記載していただいて、自賠責等の等級認定機関に対し、症状の内容をより詳細に伝えることが重要です。
②特に、「神経系統の障害に関する医学的所見」中の「6.認知・情緒・行動障害」欄の記載は、高次脳機能障害による症状が何級に該当するかの判断で、大変重要なものとなりますので、しっかりとご記載いただいてください。
詳しくは、こちらのページをご覧ください。
傷病別後遺障害等級認定の基礎知識と対策
被害者側
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