後遺障害認定
調査事務所取付回答書類が開示されるようになりました
自賠責調査事務所が取り付けた医療機関からの回答書類が開示されるようになりました。
交通事故による後遺障害等級認定を行うのは、損害保険料率算出機構自賠責損害調査センターの各自賠責損害調査事務所ですが、調査事務所は、損害調査のため被害者の同意書を得て、各診療機関から様々な回答書類を取り寄せます。
例えば、むち打ち損傷後の頚・腰部由来の症状については、「症状の推移について」、「神経学的所見の推移について」と題する書面を取り付けます。
そして、例えば、これら回答書に、初診時に「症状無」、初診時から終診時までの推移が「軽減」、神経学的検査で「異常所見なし」などと記載されると、後遺障害等級該当性が否定されるなど、これら回答書は後遺障害等級認定に大変重要な資料となるものです(「軽減」と記載された場合に後遺障害該当性を否定する理由とすることの問題点については、
こちらをご覧ください。
当事務所では、被害者請求の際、自賠責保険会社に対しこれらの回答書類の写しを送付してくれるようお願いしていましたが、従前は「病院の同意がないから出せない」と言われ拒否されてきました。
病院は被害者本人の同意に基づき、本人の病状について回答書類を作成しているにもかかわらず、「病院の同意がない」ことを理由として、これを拒む自賠責保険会社の姿勢は大きな問題であると考えてきました。
これらの回答書類の内容は認定結果にも引用されており、その内容を確認しないと後遺障害等級判断が適正かの判断ができないため、やむを得ず病院に診療記録の開示手続きをとり、時間と費用をかけこれら回答書を入手していました。
しかし、最近になって、三井住友海上火災保険株式会社の自賠責保険窓口である関西企業自動車損害サポート部第5保険金お支払センターでは、自ら病院の同意の有無を確認したうえで、回答書類の写しを送付していただけるようになりました。
被害者本人の同意に基づいて取得した回答書類なので、当然の扱いと言えば当然ですが、これまで「病院の同意がない」ことを理由に回答書類の写しの送付を拒否してきた自賠責保険が、取り扱いを改めたことは大変評価できることと存じます。
今後、すべての保険会社が同様の取扱いをしていただけることを強く望みます。
また、被害者請求をする際には、自賠責保険会社に「自賠責調査事務所が診療機関から取り寄せた回答書類の写しを送付いただきたい」旨お願いしておくと宜しいかと存じます。
平成30年5月15日追記
上記のとおり、三井住友海上のほか、あいおいニッセイ同和からも、調査事務所取付の回答書が開示されるようになりました。
しかし、東京海上日動火災では、依然「自賠責調査事務所(自調)に確認したが、自調で取り付けたものであるから開示できない。」とのことでした。
この違いですが、三井やあいおいの自賠窓口は大阪であり、大阪の自調の管轄になるのに対し、東京海上の窓口は名古屋ですので、名古屋の自調の管轄にあることから、これら対応に違いがあるものと思われます。
上記のとおり、本人の同意の下、本人の病状が記された書面であり、本人に開示されても何らの不都合性はないのですから、本来上記回答書は開示されるべきものです。
速やかに、全国の自賠責調査事務所で統一的に開示する取り扱いがなされることが求められます。
後遺障害認定
- 公益財団法人紛争処理センターの和解あっ旋を利用し驚いたこと
- 「痛いからまだ通院したい」は正しいのでしょうか~通院の必要性と症状固定時期について~
- 対自転車事故での後遺障害等級認定手続について
- 医師や病院の対応について~後遺障害診断書の追記・修正に応じていただけないケース
- 「足」ってどこのこと?
- 頚部痛被害者請求非該当、異議申立により第14級9号の認定を受けた事案のご紹介です
- 近時のむち打ち損傷の後遺障害認定実務の傾向について
- 弁護士選びは慎重にしましょう・2~高額な弁護士費用
- 高次脳機能障害に対するリハビリの重要性について
- 頚・腰部痛被害者請求非該当、異議申立により各第14級9号併合14級の認定を受けた事案のご紹介です。
- 事前認定右手疼痛第14級9号、異議申立てにより右手関節機能障害第10級10号、右大腿部の感覚麻痺等第14級9号併合10級の認定を受けた事案のご紹介です。
- 独立行政法人自動車事故対策機構(NASVA)名古屋主管支所様と意見交換会を実施いたしました。
- 東京海上日動火災保険㈱の2件のイレギュラーな遅延行為について(顛末記あります)
- 高次脳機能障害に関する誤解について
- 事前認定非該当、異議申立てにより顔面醜状12級14号、左恥座骨部痛及び腰痛で各14級9号併合12級の認定を受けた事案のご紹介です
- 骨盤骨折もしくは腸骨採取後の大腿外側のしびれ感について
被害者側
交通事故専門弁護士による
ブログ
保険会社や病院の不適切な対応から専門家向けの高度な知識など、交通事故被害者にとって重要な情報を惜しみなく提供し、被害者側交通事故賠償実務の発展・向上に努めています。
-
国民共済coopの度重なる回答遅延について(顛末記あります)
-
子どもや若年独身者の死亡慰謝料の基準を見直すべきです
-
㈱光文社様「FLASH」年末年始特大合併号(令和6年12月24日発売)記事掲載
-
ドライブレコーダー映像・音声データの改ざんについて
-
相談センターの示談あっ旋と紛セの和解あっ旋の違いについて
-
公益財団法人紛争処理センターの和解あっ旋を利用し驚いたこと
-
大分市194km暴走死亡事故で、危険運転致死罪が認められました
-
危険運転致死傷罪の見直しの評価と大分市の時速194km暴走死亡事故について
-
良い損害保険会社(共済)とは~当事務所での損保会社(共済)ごとの示談成立率について
-
「痛いからまだ通院したい」は正しいのでしょうか~通院の必要性と症状固定時期について~