保険会社
三井住友海上火災保険四日市保険金お支払センターの問題のある対応について
先ほど、三井住友海上火災保険四日市保険金サービスセンターにおいて、弁護士の代理業務の独立性と秘匿性を阻害しかねない言動があったので報告します。
内容は、弁特対応担当者を利用して、相手方保険会社側がこちら側の状況を確認しようとしたのでないかとの疑念を抱かせた点になり、被害者の方々には直接的には関係ない事柄に思われるかもしれませんが、弁護士の職務の独立性を揺らがしかねず、ひいては被害者の方に大きな悪影響を及ぼす事案ですので、以下ご報告します。
事案の概要
本件は任意保険会社が依頼者側も相手方側もいずれも三井住友海上火災保険であり、担当サービスセンター(以下「SC」といいます。)は依頼者側が四日市保険金SCで、相手方は別のSCになります。
そして、既に相手方には損保の顧問の弁護士が就いています。
その折、当方の担当者である四日市保険金SC担当者から連絡があり、今後の方針についての確認がありましたので、説明しました。
この点については、弁護士費用特約を利用している関係で、弁護士は弁特社に対して、依頼者の利益を損なわず守秘義務に反しない限度で、ある程度状況を回答する事実上の義務はあると考えられますので特に問題はありません。
その際、弁護士丹羽は、念のため『質問の趣旨は弁護士費用の支払いに関してですよね。』と確認したところ、担当者は、
『弁護士費用とは関係ありません。相手方も同じ保険会社で、上司から聞けといわれたので。弁特の窓口であれば通常聞かない内容ですよね。』
と回答しました。
担当者の何が問題か
そもそも、弁護士の代理人の活動は依頼者の利益を最大限図るため、都度状況に応じて戦略的に進めていくものです。
その中身が相手方保険会社に筒抜けになるとしたら、依頼者の利益など到底図ることはできません。
本件は、示談交渉の直前に差し掛かっている段階で、相手方に弁護士が就いていることも考慮すれば、今後どのように進めていこうと考えているかについては、相手方サイドには知らせたくない内容です。
また、本件では相手方に代理人が就いていますので、相手方任意保険会社の示談代行権限は相手方代理人の代理権に劣後し、窓口は相手方代理人に一本化されることが実務的な慣行です。
そのような状況下で、当方の弁特担当者の窓口を使って相手方保険会社がこちらの動向を探ろうとしたのなら、弁護士の職務の独立性や対外的秘匿性を大きく侵害することになる重大な問題行動であると弁護士丹羽は考えています。
なお、当然のことながら、弁護士丹羽も、双方同一保険会社であることから、情報の内部共有のリスクを考慮し、本件では相手方サイドに伝わっても構わない内容しか話をしていません。
もちろん、代理人として事案を円滑かつ円満に進めていくためには、徒に相手方を敵視や敵対することなく、相手方任意保険会社や代理人と相互に協力して事件を進めていくことが不可欠ですし、弁護士丹羽も被害者の利益を最大限図るために、できる限り相互に信頼関係を醸成しながら十分理解しあい納得して進めています。
しかし、このように、既に相手方に弁護士が就いている(相手方保険会社が自分で弁護士を付けたにもかかわらず)状況で、当方の窓口を利用して当方の動向を探ろうとすることはやはり問題です。
弁護士の職務の自由と独立性を守るために
本件の背景には、保険会社担当者の、弁護士の職務の高度の独立性や秘匿性への不理解があるに他ならないと考えています。
弁護士丹羽は弁護士費用特約が広く普及することで、究極的には保険会社が弁特を通じて弁護士をコントロールすることになる事態を恐れてきましたし、現在でもその思いは変わりません。
そのため、弁特社と相手方社が同一の場合、サービスセンターは必ず変えるよう求めたり、事案報告を求められた際には、細心の注意を払い、依頼者との守秘義務の根幹にかかわる部分や戦略的内容には触れないよう心がけてきました。
ここ数年で弁護士が激増し、被害者側で交通事故を手掛ける弁護士も増え、また、損保の顧問弁護士が弁特案件で被害者側代理を行うことも増えた中で、顧問弁護士に事件を差配する保険会社担当者も、相手方弁護士に対してでさえ、顧問弁護士のように気軽に対応できるとの大きな勘違いがあるのかもしれません。
弁護士は憲法に特に唯一記載された民の職業であり、他の法律に特段の定めがない限り、知りえた秘密を保持する権利及び義務があり(弁護士法23条)、弁護士職務基本規程上も「弁護士は、職務の自由と独立を重んじる。」(2条)と規定されているとおり、自由と独立をその職務の根幹としています。
保険会社担当者のみならず、我々弁護士自身も弁護士の職務の自由と独立性の重要性を今一度認識すべき時期に来ていることを実感しました。
本件については、窓口担当者に懸念を伝えたうえで、現在その指示をした「上司」から連絡をもらうよう伝えてありますので、連絡があり次第、顛末を報告いたします。
顛末記
上記電話の1時間後、この記事を書いている最中、上司ではなく先ほどの担当者から連絡があり、
『あくまでも依頼者の利益を考えて方針について助言をしたかっただけであり、自分自身よく整理ができておらず、誤解を与え不快な思いをさせてしまい申し訳ございませんでした。』
と謝罪がありました。
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交通事故専門弁護士による
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保険会社や病院の不適切な対応から専門家向けの高度な知識など、交通事故被害者にとって重要な情報を惜しみなく提供し、被害者側交通事故賠償実務の発展・向上に努めています。
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