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三井住友海上火災の不当な治療費の打切りについて
三井住友海上火災の不当な治療費の打切りについて
三井住友海上火災名古屋損害サポート部第三保険金お支払センター(以下「三井住友」といいます。)において、極めて不当な理由で治療費を打ち切ってきた事案がございましたので、報告します。
事案は、青色信号で横断歩道を渡っていた依頼者である歩行者に、普通乗用車が衝突し、意識喪失を伴う頭部挫創、右膝内側側副靭帯損傷等を負わせたとのもので、被害者は事故後4か月が経過した現在においても、右膝の強度の痛みや可動域制限を訴えているという事案です。
「医療照会の結果」に基づく打切り
被害者は、事故後撮影した右膝MRI画像で、内側側副靭帯損傷と診断され、週に2回ほどの頻度で通院しリハビリを行っていました。
ところが、相手方付保任意保険会社である三井住友担当者は、事故後3か月半が経過したころ、突如として、「医療調査の結果」を理由として事故後5か月に満たない時点での治療費の打切りを宣告しました。
そこで、私は、担当者に対し「医療照会の結果」を開示するよう求めました。
医療照会の結果には、冒頭の画像のとおり、被害者にMRI画像上右膝内側側副靭帯損傷があることを明示したうえで、主治医は、事故7か月間リハビリを実施し、その時点で一応の症状固定予定と記載されていました。
そこで、私は、三井住友担当者に対し、内側側副靭帯損傷との外傷性の画像所見があり症状は重篤である、主治医も少なくとも7か月間の通院を認めている。にもかかわらず、5か月に満たない時点での打切りは極めて異例であることを伝えたうえで、改めて「医療照会の結果からは、早期の打切りをすべき理由はない。どのような理由で打ち切りと判断したのか。」について確認しました。
すると、担当者は、以下の理由を挙げました。
①現在右膝のリハビリとしては温熱療法のみが実施されており、「対症療法」の状態であり、打撲・捻挫と変わらず、通常どおり3か月で打ち切る。5か月間治療を認めたのは、被害者が高齢であるからだ。
②通院頻度も少ない。
これに対して、私は、現在右膝の痛みのためリハビリが出来ない状態であり、今後リハビリが行われる予定であること、通院は週2回程度行っており、頻度も決して少なくない旨説明しましたが、打ち切りの判断には変わりはないとの結論でした。
三井住友の打切りの理由の不当性~「対症療法」だと打切り?
まず、三井住友は、被害者に本件事故により内側側副靭帯損傷が生じたことを認めたうえで、「現在対症療法しかなされておらず、打撲・捻挫と変わらない。」と主張しました。
しかし、症状の原因となる他覚的所見のある本件と、これらのない単なる打撲・捻挫とは全く事情が異なります。
にもかかわらず、これらを同一視した三井住友の判断は不当と言わざるを得ません。
また、三井住友は、「対症療法」しかなされていない点をもって、打ち切りの理由としています。
この「対症療法」との表現は、相手方保険会社から打ち切りの理由としてよく挙げられる最近流行りの表現です。
そもそも、「対症療法」とは「原因療法」の対義語であり、症状の改善を目指して生じた症状に対して行う治療を指しますが、交通事故外傷では、原因療法だけで対応可能な症状がどの程度あるといえるのでしょうか。
そもそもリハビリは対症療法ですし、痛み止めの処方やしびれ感に対しブロック注射を打つこともすべて対症療法です。
この三井住友の担当者のように、「対症療法であるから治療費を打ち切る」とのことになれば、交通事故外傷では直接の原因を取り除く手術以外の療法は、すべて打ち切りの対象となってしまい、交通事故賠償実務が崩壊することは間違いありません。
被害者は現在右膝の痛みが非常に強い状態であり、痛みが落ち着くのを待って右膝の可動能力を回復するための理学療法を行う予定でした。
そして、被害者の右膝には事故後一貫して温熱療法がなされ、痛み止めの内服薬や貼付薬の処方がなされていましたので、まさに「対症療法」が実施され、症状は徐々に改善をみせている状況にありました。
さらに、三井住友は、「治療日数が少ない」ことを理由として挙げています。
しかし、被害者は、事故後現在においても週2回の通院を継続しています。
これをもって「通院日数が少ない」とされてしまうのですから、三井住友の場合、週3回以上の通院をしないと打切りの対象とされてしまうことになります。
私の経験からも、今回意識喪失が生じたほどの重篤な事故態様で、右膝の靭帯を損傷したケースで、医師が治療の必要性を認め、他に特段の事情がないにもかかわらず、今回の三井住友海上名古屋損害サポート部第三保険金お支払いセンター担当者のように、5か月足らずで打切りを宣告してきたのは、異常です。
今回の件の顛末は、改めてご報告いたします。
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