保険会社
「任意保険会社基準」の慰謝料の実例
任意保険会社基準と裁判・弁護士基準との慰謝料額の比較
交通事故賠償の基準には、いわゆる「自賠責基準」、「任意保険会社基準」、「裁判/弁護士基準」の3つの基準があることは良く知られています。
このうち、自賠責基準は平成13年金融庁・国土交通省告示第1号により定められており、また裁判・弁護士基準は、いわゆる「赤い本」や「青本」に記載があり、具体的かつ明確になっています。
しかし、「任意保険会社基準」といわれる基準が実際にはどの程度の金額なのか、明らかにはされていません。
そこで、実際に大手通販型損保会社で使用されている通院(傷害)慰謝料の算定基準表を用いて、任意保険会社の慰謝料基準を見ていきます。
上記表が、ある大手通販型損保会社で実際に用いられている慰謝料の基準です。
この金額を裁判・弁護士基準と比較すると概ね以下のとおりとなります。
赤い本・別表Ⅰ:45%~60%、別表Ⅱ(むち打ち症状で他覚所見がない場合):65%~85%
青い本・上限値:45%~50%、下限値:75%~90%
たとえば、いわゆる他覚所見のないむち打ち症状で6か月通院した場合ですと、
裁判基準の通院(傷害)慰謝料は89万円(赤い本別表Ⅱ)となるところ、
この任意保険会社基準では64.2万円になり、3割程度も減額されてしまうのです。
しかも、この任意保険会社基準は、「隔日通院より多い場合の基準」とされていますので、
例えば週に2日程度の通院ですと、さらに減額されてしまうのです。
ちなみに、自賠責基準では週3日通院したとしますと、¥8,400×10×6=50.4万円になります。
任意保険会社基準の慰謝料額の仕組み
この任意保険会社の慰謝料額の表を見て、どのように算定額が定まっているかお気づきになりましたでしょうか。
要するに、3日に1回通院した際の自賠責基準を1.5倍した金額を基準として、漸次減額した基準になっているのです。
つまり、自賠責基準では通院1日当たりの慰謝料額は8400円であり、3日に1回通院した場合、ひと月の通院日数は10日になりますので、自賠責基準では8万4000円になります。
これを1.5倍しますと12万6000円になり、上記表の通院1月の金額と合致するのです。
入院は通院の2倍になり、入通院双方がある場合は、それぞれの合算値となっています。
そして、通院・入院それぞれ3か月まではほぼ上記基準で算定されますが、増加額はその後漸減していきます。
通院でいいますと、3か月目から7か月目までの4か月間はその増加額は1万円程度減少し、8か月から10カ月まではひと月当たり5万円程度増額され、11か月目からはひと月当たり2.5万円程度増額されていきます。
つまり、週3日通院を継続したとして、この基準ですと当初の3か月は自賠責基準の1.5倍の金額になりますが、6か月目では自賠基準の1.3倍程度(自賠50.4万円)、10か月目には自賠基準とほぼ同額(自賠84万円)、それ以降は、自賠基準を下回ることになります。
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