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脳梗塞後に上・下肢不全麻痺を生じた方が、交通事故により脳挫傷を生じ高次脳機能障害等を生じた事案で、被害者請求時、高次脳機能障害等の神経系統の機能障害については5級2号の認定を受けたものの、既存障害が7級4号とされました。

被害者の事故前の麻痺の程度は右足の脱力はあったものの7級4号には到底及ばないとして異議申立てを行ったところ、既存障害は9級10号との認定を得られました。

弁護士丹羽は、異議申立の際、開示を受けた脳梗塞後に通院した診療記録の記載から、脳梗塞発症後今回の事故直前までの症状経過を丁寧に主張したほか、事故前に精密作業を含む業務に従事していた点を説明し、これに加え、事故前に撮影されていた被害者の歩行状況がわかる動画を添付しました。


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実際の異議申立書はこちら

既存障害(既往症)とは

既存障害(既往症)とは、本件事故前から別の原因で生じていた症状をいい、交通事故賠償実務では、事故後に残存した症状に基づく損害(等級)から、もともと生じていた症状(既存障害/既往症)に相当する損害(等級)を差引くことになります。
例えば、本件のような場合、後遺障害等級5級2号、既存障害9級10号との認定になり、支払われる自賠責保険金も、5級相当額1574万円から9級相当額616万円を差し引いた958万円になります。

異議申立で既存障害を争うことも可能

以上のとおり、既存障害が認定されるとその分支払われる賠償も差額となり大きく減額されてしまいますので、認定された既存障害が不服であるとして異議申立てを行うことももちろん可能です。
その手法としては、本件のように認定された既存障害の等級が不服であるとするほか、既存障害とされた症状は本件後遺障害とは相当因果関係を有しない(既存障害とされる症状はない)として異議申立てを行うこともあります。

異議申立で動画を提出することは効果的です

先にご紹介した異議申立により脊髄損傷3級3号から2級1号に上がった事案(こちら)でも、被害者の関節の測定状況や可動状態を撮影した動画を提出しましたが、被害者の症状を説明するのに動画は重要な証拠となります。

昨今では、スマートフォンの普及により動画を撮影する機会も増えていますが、動画は、麻痺の程度や関節の可動状況、その他介護の状態等、被害者の症状や状況を動的な視覚として捉えられる大変分かり易い証拠となります。
自賠責保険での後遺障害認定でも動画の提出はとても有効です。


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