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医療画像閲覧の重要性

交通事故被害者側弁護士にとって、医療画像がある程度閲覧できることは必須のことと思われます。
昨今では、根拠に基づく医療(EBM:evidence-based medicine)の概念が浸透し、医療現場においても画像等の医学的な根拠は重要視されるようになってきましたが、最も重要視されるのが臨床所見であることには変わりありません。

一方、交通事故賠償実務では、証拠が最も重要視されます。
そのため、症状の原因となる画像等の検査所見等の証拠がなければ、いくら被害者の方が症状を訴えていたとしても、事故と症状の相当因果関係が否定されてしまいかねません。

特に後遺障害が問題となっている事案においては、自賠責での後遺障害認定の場面、訴訟の場面いずれにおいても、画像所見が最も重視されます(大変厳しいですが、賠償の場面では「事故前に症状がなかった」だけでは到底通りません)。
なお、自覚症状のみの後遺障害等級とされる14級9号の「局部の神経症状」でも画像所見が重視されるのは、以前このブログでもご紹介したとおりです(こちらをご覧ください。)

そのため、交通事故賠償に携わる弁護士にとって、症状や診断名、画像所見の見逃しがないか、現状で画像所見は整っているか、臨床所見のみの傷病名ではないか、医師面談や医療照会で効果的な結果を得られるか、自賠責での後遺障害認定や訴訟での画像所見の指摘ができるか、など画像閲覧の必要性は、事故当初から訴訟までの最初から終わりまで常に一貫して求められているといっても過言ではないと考えています.

もちろん、当然のことながら、当事務所では、医療画像は弁護士としての業務に必要な証拠評価の範囲で参考程度に利用しており、画像読影を含めた診断や診察等の医療行為や類似行為は一切しておりません。
また、特に訴訟の場面では、いくら弁護士が画像所見があると主張したとしても、所詮は素人の意見にすぎませんので、画像を証拠とする場合は医師の先生方に確定所見をいただいたうえで対応しています。

Dicom viewerのご紹介

上記のとおり、交通事故被害者側に携わる弁護士にとって、画像閲覧は大変重要ではありますが、現在では、Xp(CR),CT,MRI画像はフィルムではなく、Dicom(DicomDigital Imaging and COmmunications in Medicine)という形式でデータ化され、CD-R等の媒体により病院からいただくことが主流です。
ただ、いただいたCD-Rに含まれている医療画像閲覧ソフト(Dicom viewer)は病院によってまちまちで、普段、医療画像閲覧ソフトを使い慣れない弁護士にとってはその起動や操作方法に戸惑うことが大変多いと想像しています。

そこで、毎回特定のDicom viewerを用いれば、より効率的に画像読影が可能になると思いますが、有料のソフトを導入するのも費用対効果の問題があるとのことであれば、無料のDicom viewerを利用されると宜しいかと存じておりますので、皆様の業務の効率化のため、使い勝手の良い無料Dicom viewerをご紹介いたします(ソフトの導入は自己責任でお願いします)。

SonicDICOM Media Viewer

当事務所でもこれまで様々なDicom viewerを使ってきましたが、現状で最も使い勝手が良いのが、
株式会社ジウン様が開発された「SonicDICOM Media Viewer」です。
特に我々弁護士にとっては、画像が身体のどの部分を示しているか一見してわからないので、これを示すスライスライン(参照線、リファレンスライン)が容易に示されることが重要です。

このソフトでは、特段の操作は不要で、異なる軸位の画像を表示すればスライスラインは自動で表示されるので重宝しています(もちろん非表示とするのも簡単です)。

ただ、ソフトのダウンロードと利用方法が少しわかりにくいので、以下詳しくご説明いたします。

ダウンロード方法

ダウンロード方法ですが、以下の株式会社ジウン者様のダウンロードページにアクセスし、「SonicDICOM Media Viewer」のZipファイルをダウンロードします。
https://ja.sonicdicom.com/downloads/


解凍後表示されるファイル内の一番下の「SonicDICOM_MediaViewer」を展開すると、さらに「sonicdicom_media_viewer」というフォルダが表示されます。



このフォルダをクリックすると、一番下に「SonicDICOM_MediaViewer」というアプリケーションが表示されますので、これがDicom Viewerとなります。


使い方

実際の使い方ですが、CD-R等の媒体をセットしたうえで、上記の「SonicDICOM_MediaViewer」をクリックしてアプリを実行すると、以下のようなダイアログが表示されます。


一番上の「DICOM files」の「Browser」をクリックして、画像データが入っているドライブを選択し、「DICOM」と表示されているフォルダーをクリックします。
そうすると、ダイアログにDICOMファイルが入っているフォルダーが表示されますので、「Read」をクリックします。


画像の選択画面が出てきますので、みたい画像の左のチェックボックスにチェックしたのち、左上の「Viewew」をクリックすると、冒頭の画像のとおりの画像閲覧画面が表示され、画像閲覧が可能になります。


なお、医師法17条等で医師以外の医行為は厳に禁じられていますので、医師以外の者が画像を用いた診察・診断等の医療行為を行うことは絶対にしないでください。
また、お使いのパソコンの性能やディスプレイの解像度によって、画像の精度は大きく異なりますし、すべての病変が描写できているとも限りませんので、画像の検討はあくまでも参考程度にとどめていただき、画像読影や診断は医師の先生にお願いしてください。


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