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交通事故を専門的に扱う弁護士として、大変良くご質問をいただくのは、どの損保会社(共済含む、以下省略します)が良いかという点です。
契約者(被保険者)対応、被害者への支払いや保険料、手続きの簡易さなど何をもって良しとするか大変難しい所ではありますが、被害者側専門弁護士としては、損保会社の本分である被害者への早期かつ適正な保険金の支払いをしているかという点が良い保険会社の一つの基準になると考えています。

そして、当事務所では、交通事故被害者への正確かつ公正な情報公開という点から、平成24年の設立以降令和6年10月までの12年間に終了したすべての事案(事案数455件、全被害者数548件)の結果を「解決実績データベース」として公開しており、損保会社ごとに分類し、また示談や訴訟などの解決方法も記載しています(こちらをご覧ください)。

当事務所では相手方任意損保会社に人身損害保険金を請求する場合、いわゆる裁判/弁護士基準や過失割合の基準にしたがい、被害者の方にできるだけ有利となる金額を算定し、示談する場合も一定の示談基準を設けていますので、当事務所にご依頼をいただいた件で示談が成立した場合は、一応損保会社はそれなりに適正かつ公正な対案を示したといえ、示談が決裂し訴訟や示談あっせんに移行した場合は、そうではないといえます。

そこで、弁護士丹羽は、当事務所の解決実績データベースを用い損保会社ごとの示談成立率を集計することで、「良い保険会社」の一つの基準を示せるのではと考え、以下損保会社ごとの示談成立率の集計結果をまとめました。
なお、同一事故であっても複数の被害者がいる場合であっても事案数としては1件として扱い、以下の集計では被害者数で集計していますので、事案数(455件)と被害者数(全548件)は一致しません。

ちなみに、当事務所の令和6年8月時点での終了事件の示談での解決率は84.5%(463件/548件)ですので、これを上回る示談解決率の損保会社は当事務所での取り扱い事件という狭い範囲限りではありますが、「良い損保会社」といえるのではないかと考えています。


令和6年8月末時点での当事務所終了事件の各損保会社の示談割合


*当事務所での終了件数10件以上の損保会社のみ、示談割合上位順、損保会社の名称は現時点

                   被害者数 示談数           示談割合
1 損害保険ジャパン株式会社      92    85     92.4%
2 ソニー損害保険株式会社       14    12     85.7%
3 東京海上日動火災保険株式会社     164     140        85.5%

(当事務所示談解決率           548    463       84.5%)
4 AIG損害保険株式会社         18    15      83.3%
5 あいおいニッセイ同和損害保険会社     58    47     81.0%
6 三井住友海上火災保険株式会社       77    62     80.5%
7 JA共済連                27                 18                       66.7%

皆さん意外に感じられるかもしれませんが、弁護士丹羽は、損保ジャパンは比較的示談で解決しやすいイメージをもっており、実際に集計してみると示談での解決率は群を抜いて高いことが裏付けられました。
その他、4大損保では、東京海上は取扱件数が群を抜いて多い中でも比較的示談での解決率は高いですが、争ってくるところは徹底的に争ってくる印象です。
余談になりますが、相手方損保は東京海上が突出して多いので、当地では東京海上と契約されている方が多いことも裏付けられました。
MS&ADは当事務所の平均示談割合以下です。

また、弁護士費用特約の関係で当事務所との関係が取り沙汰されているソニー損保は実は相手方になったときは示談での解決率は東京海上以上に高く、(相手方の場合は)担当者の対応も比較的良い印象です。
表には挙げられていませんが、SBI損保も83.3%(5件/6件)の示談率ですので、こちらも示談率としては決して悪くはありません。

他方、JA共済連はこうして数字にしてみると、他損保に比してもやはり群を抜いてひどいなということが数字でも如実に表れ、「でしょうね」という印象と感想しかありませんが、実は全労済(国民共済coop)も母数こそは少ないですが、4件中2件とこれもかなりひどいです。

取扱件数の関係で表には挙げてはいませんが、特筆すべきは以下の対面販売型中堅損保会社です。これらの損保会社はかなり厳しい印象を持っているのですが、実感していたのを裏付けるとおり軒並み示談での解決率は以下のように低いです。

朝日火災海上株式会社(現楽天損保)    4     2     50%
日新火災海上保険株式会社       8     5     62.5%
共栄火災海上保険株式会社       7     5     71.4%

ソニー損保以外のダイレクト系は意外にも母数が少なく表には挙げられませんでしたが、イーデザイン損保や三井ダイレクトについては、示談率は悪くない印象です。

また、取扱件数が集まり次第、集計したいと考えています。


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